初恋
無理矢理足を動かして、
准くんの言葉なんて気にせず走る。
いつも、あたしは逃げている気がする。
悼矢さんと渡邊先輩を見る度、
逃げるようにして走って。
「はぁっ・・・はぁっ」
学校に着いて丁度亜衣に会った。
「沙奈、おはよ♪
・・・あんた、汗かいてるけど?
・・・しかも息切れてるし」
「はぁ・・・うん、・・・」
亜衣があたしにタオルを渡してくれて、
あたしはありがとうと言い額の汗を拭く。
教室に行く間、
あたしはさっきのことを亜衣に全部話した。
「ほんっっっっと、
沙奈の邪魔をするために学校の時間一緒にしてんじゃないの!?
性悪女だね!
顔が良くても中身が最悪じゃ、モテないわ!」
「そこまで言わなくても・・・」
「だってそーじゃん!
実際そんな偶然で、朝会うか!?」
亜衣は、昔から自分の方がモテるとか、
上から物をいう人が大嫌いだった。
あたしもそういう人は好きじゃないけど・・・
渡邊先輩がそういう人だとは限らないし。