初恋



あたしは悼矢さんの背中を見つめる。









何で・・・最近のあたしはどうもおかしい。







胸がキュゥってなったり、ドキドキしたり。









「沙奈ちゃん?」







彼があたしの名前を呼ぶたびに、



凄く嬉しくなって、



幸せで。





「早く裕大とこ行かねぇと。

あいつかなりの心配性だから」




「は、はい」






あたしは胸の辺りを強く抑えながら
小走りで悼矢さんのもとへ行く。





「そーいやさ、さっき裕大が渡邊に怒っちゃってさ笑」




「え!?めったに怒らないのに・・・」




バケツの中の水を捨てて、
近くの掃除ロッカーに入れる悼矢さん。




あたしの気持ちも次第に落ちついてきて。






「もう怒ってないけど、多分内心怒ってるだろうから癒してやってよ」




そんな話をしながら部室まで歩いて行くと、お兄ちゃんの姿が見えてきて。



その時にはまたいつもの自分に戻っていた。



お兄ちゃんはあたしを見てダッシュで駆け寄ってきて抱きついてきた。











「ばっか!こんな時間まで掃除しなくたって明日やりゃぁ良かったじゃん!」




「ご、ごめんね・・・?」










周りの皆は呆れた顔でお兄ちゃんを見ていた。
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