初恋
「どうしたの?」
「あ、あのっ・・・
お兄ちゃんいますか?」
「裕大?
・・・あー・・・多分トイレかも。
何か渡すものでもあるの?渡しとこうか?」
お兄ちゃんいないんだ・・・
だったら渡してもらうしか他にないよね。
あたしは渡邊先輩に頼んで、
教室に戻ることにした。
「朝!沙奈ちゃんほんとに大丈夫だった!?」
帰ろうと歩き始めた時、
渡邊先輩が今日の朝のことをあたしに聞いた。
渡邊先輩、悪い人じゃないのに・・・
同じ人を好きになってしまうと、
何故あんまり話したくないとか、
関わりたくないとか思ってしまうんだろう。
あたしが勝手に嫉妬とかして逃げただけなのに。
渡邊先輩は、それでもあたしを心配してくれる。
あたしの気持ちを知らないからだろうけど・・・
普通に、普通にしていなきゃ駄目なんだよね。
一方的に、嫌だとか思ってる方が、
嫌な奴なのかもしれない。
「はい。本当大丈夫です。
心配掛けてすいません」
「そっか・・・なら良かった!!」