初恋
高校に入ってから悼矢に出会って、
それで一目惚れをした。
背が高くて、
顔も良くて、
何より誰にでも優しかった。
先生に頼まれて廊下の掲示板の紙を外そうと手を伸ばしたけど、
あたしの背じゃちょっと届かなくてどうしようかって思ってた時、
あたし以外の誰かの手が見えて。
誰かと思って振り返ったら、悼矢だった。
『先生もこんな高い所に貼ってあるやつ、
何で女子にやらせんだろうね?』
『あ・・・』
『ほい。これだけ外せばいいん?』
『あと奥のやつ・・・』
『俺が取るから待ってて。』
悼矢のその仕草が、
あまりにも自然で。
きっとこういうことは
必ず手伝ってあげてたんだろうなって思った。
それからあたしは、
悼矢を目で追うようになった。
仮部活の時に、サッカー部を見に行っていた悼矢を見て、
あたしはすぐにサッカー部のマネジになろうと思い、
入部届けを出した。
1年の時はクラスが違い、
部活の時にしか喋れなかったけど・・・
それでもあたしは満足だった。