初恋
マネジというのは、
選手のコンディションを整えるのにも
大事な存在である。
ただ仕事をするだけじゃ駄目なのだと、
俺は沙奈ちゃんの姿を見て分かった。
「あ、たし・・・」
小さい、細い声で話を始める。
・・・動揺、してるのか・・・?
「あたし・・・今、決められない、です」
「は!!!???
何で!?
何で!!」
予想もしなかった出来事に、
俺も裕大も心底吃驚している。
沙奈ちゃんの手は震えていた。
きっと何か理由でもあるのかもしれない。
もしくは、バスケ部のマネジを受けるつもりでいるのかもしれない。
俺たちの期待は、
もしかしたら大きかったのかもしれない。
1度部活のマネージャーを臨時でやってもらっている沙奈ちゃんに、
もう1度臨時じゃなく本当にマネージャーをやってもらおうと言えば、
やってくれるんじゃないかという期待。
そして、強引に頼んだらやってくれるのではという、
俺たちの勝手な想像。
・・・勝手に、自分たちの気持ちだけを沙奈ちゃんにぶつけている。
「・・・何したいのか・・・分からないの」
まだ吃驚している裕大に、沙奈ちゃんは気持ちを伝える。