初恋




頭をかき、

咳払いをして、

一度目をそらす北見くん。













「裕大先輩だけじゃない、



悼矢先輩だけでもねぇ」






「き、たみくん?」





「お前を本当にサッカー部のマネジとして

受け入れたいって思っているのは、

部長・副部長だけじゃなくて、

サッカー部全員で、



受け入れたいって思ってんだよ」








あたしは―・・・








本当に自分のことしか考えていな・・・






違うな・・・








悼矢さんのことばかり、考えていた。









自分のことじゃなくて、

悼矢さんの気持ちとか、行動とか。











そして、未だに脳裏に残っている渡辺先輩と悼矢さんの事。











周りがどう思うとか、

そんな逃げるようなことばかりを考えて。








周りのせいにして、

あたしは逃げる道を選んでいた。







あたしは、今まで誰のために頑張ってマネージャーの仕事のしていたの?
















―悼矢さんのためじゃない。










皆のためだった。
















どうかしてる・・・あたしは。
< 293 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop