初恋
頭をかき、
咳払いをして、
一度目をそらす北見くん。
「裕大先輩だけじゃない、
悼矢先輩だけでもねぇ」
「き、たみくん?」
「お前を本当にサッカー部のマネジとして
受け入れたいって思っているのは、
部長・副部長だけじゃなくて、
サッカー部全員で、
受け入れたいって思ってんだよ」
あたしは―・・・
本当に自分のことしか考えていな・・・
違うな・・・
悼矢さんのことばかり、考えていた。
自分のことじゃなくて、
悼矢さんの気持ちとか、行動とか。
そして、未だに脳裏に残っている渡辺先輩と悼矢さんの事。
周りがどう思うとか、
そんな逃げるようなことばかりを考えて。
周りのせいにして、
あたしは逃げる道を選んでいた。
あたしは、今まで誰のために頑張ってマネージャーの仕事のしていたの?
―悼矢さんのためじゃない。
皆のためだった。
どうかしてる・・・あたしは。