初恋
まぁ、昔から三度の飯よりサッカーって感じだったし
(ご飯も好きだけど)
女の子の気持ちなんてこれっぽっちも分からないから
変な振り方でもしたとは想像付く。
「えっと・・・沙奈ちゃん、だっけ?
あんさ、夏休み入ってすぐに俺たち夏合宿が始めるんだ。
合宿っつーと、マネジが1人だと大変なんだ。
飯作ったりとか・・・
せめて夏合宿まででもいーからマネジやってくんねぇかな?」
「夏、合宿・・・」
「ま、嫌だったらいいんだけど・・・」
確かに夏合宿って言ったら沢山の仕事をやらなくちゃならないよね。
あたしが今ここで断っちゃったら1人でやらなくちゃいけないんだ。
そしたらマネージャーさんも困るし、
部員の人も困るって事、だよね・・・?
「分かり、ました。」
「え?」
「あたし、やります。」
「まじ!?」
「は、はい・・・夏合宿までだったら・・・」
「おー!いい、それでいいから!!俺、三浦悼矢(ミウラトウヤ)ってーの!」
悼矢さんはあたしの手を掴んでブンブンを振る。
満面な笑みな彼にあたしは心を奪われた。
「おい、裕大。沙奈ちゃんマネジやってくれるってよ」
さっきのあたしの言葉で何も考えられなくなっていたお兄ちゃんに話しかける悼矢さん。
お兄ちゃんはゆっくり顔をあげて、
そして笑顔になる。
「沙奈ー!!兄ちゃんは嬉しいぞー!!」
横からあたしを抱きしめてくるお兄ちゃん。
「く・・・苦しいから離し、て・・・」
あたしはこの日から夏合宿が終わるまでの約1ヵ月半、助人マネージャーとしてマネージャーをやることになった。