初恋
あたしは頬を膨らませて
その子に怒った。
「じぶんのことしかいわないひとが、
さなちゃんにひどいこというほうがへんだよ!」
「は!?」
「さなちゃんはきたばっかりで、
たいへんなんだよ!?」
何を伝えたかったのか、
あの時のあたしは変な言葉しか使えなくて。
でも、とにかく必死だったの。
沙奈をあたしが助けてあげないとって。
あたしは置いていたタオルを持って沙奈のところに向かう。
「・・・うっ・・・・ひ・・・く・・・・」
「さなちゃん!」
「・・・っ・・・?」
「あたしといっしょにねよー!!」
「・・・いい、のっ・・・?」
「うん!あたし、さなちゃんといっしょにねたい!!
あ!あたしねー、きむらあいっていうんだ!!
よろしくね!!」
これが、あたしと沙奈の初めて交わした言葉だった。