初恋



あたしは頬を膨らませて

その子に怒った。




「じぶんのことしかいわないひとが、

さなちゃんにひどいこというほうがへんだよ!」


「は!?」



「さなちゃんはきたばっかりで、

たいへんなんだよ!?」




何を伝えたかったのか、

あの時のあたしは変な言葉しか使えなくて。



でも、とにかく必死だったの。




沙奈をあたしが助けてあげないとって。





あたしは置いていたタオルを持って沙奈のところに向かう。









「・・・うっ・・・・ひ・・・く・・・・」


「さなちゃん!」



「・・・っ・・・?」




「あたしといっしょにねよー!!」



「・・・いい、のっ・・・?」



「うん!あたし、さなちゃんといっしょにねたい!!

あ!あたしねー、きむらあいっていうんだ!!

よろしくね!!」

















これが、あたしと沙奈の初めて交わした言葉だった。
< 313 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop