初恋
真っ赤なランドセルを背負っている沙奈が
走ってこっちまで来る姿。
近づくにつれて、
沙奈が頬を真っ赤にしているのが分かる。
喧嘩しているあたしのために・・・
顔を真っ赤にしてまで助けに来てくれた。
もっと涙が出てきた。
「亜衣!!・・・あんた達、何してんの!?
早く鍵開けてよ!!」
「だってこいつが・・・」
「言い訳する奴って顔不細工だよ!!」
「あ!?」
「亜衣、大丈夫!?
すぐ開けるからね!!
ちょっと鍵返して!!」
鍵を持っていた子から鍵を奪い取って
飼育小屋を開ける沙奈。
3人が帰ろうとしているのを、
沙奈は見逃さなかった。
「沙奈・・・あた「待っててね?すぐ開けるから」
カチャカチャと金属と金属がぶつかる音がする。
カチャっと鍵が開いた音が聞こえた時、
あたしは行き良い良く沙奈に抱きついた。
喧嘩していたのに、助けに来てくれたことが凄く嬉しくて。
飼育小屋に入れられて悔しくて泣いたことよりも、
沙奈に助けてもらって嬉しくて涙が出たことのほうが
完全に勝っていた。