初恋
水道場には人でいっぱいになっていた。
「めっちゃ気持ち―!!」
「裕大、後つっかえてんだから早くしろ!!」
「わぁってんよ!沙奈、タオル!」
「はい」
「あ、沙奈ちゃん俺っちにもくれ!
暑くてたまんぇんだ!」
顔を洗い終えた人が、
あたしに冷たいタオルを求めざわざわとやってくる。
タオル足りるかな・・・?
それにしても―
グランドの土乾きすぎな気がする・・・
あたし達の学校のサッカー部は、県でベスト8だったりするので、
サッカー部専用のグラウンドが設置されている。
水撒き・・・
今のうちにやっちゃった方がいいかも・・・
その方が土も濡れて、
風が吹いたときとか土埃とか暑い風を感じる必要もない。
「お兄ちゃん!」
「ん~?どした・・・って、何だ!?」
「これまだ貰ってない人に渡しといて!
使ったら洗ってまたその中入れてね!
あたし今すぐやらなきゃいけない事あるから!
あ、水分もちゃんと取ること!!」
「お、おい!!」
猛ダッシュで用務員室に向かってホースを借りに行く。
早くしないと次の練習メニュー始まっちゃう・・・!!!