初恋
side裕大
沙奈ちゃんに帽子を被せた時、
沙奈ちゃんの上目目線の顔がやけに可愛く見えた。
逃げるように裕大の所に戻った俺。
横目で沙奈ちゃんの姿を見ると、
すでに歩いていて遠くにいた。
「なぁ、裕大」
「ん~?」
「例えばさ、まだあったばっかりの子が可愛く見えたり、
心配でしょうがないって思ったりするのってさ、
どうよ?」
「それって、沙奈の事?」
もう、腹が減ってしょうがなかったのか、
裕大は弁当を食いながら言う。
俺はそれに呆れながら、
裕大と向かい合うように座る。
「・・・まぁ、そうなんだけ、ど、よ・・・」
「―俺、沙奈の事すんげぇ可愛いと思うよ!
世界中の誰よりも沙奈が一番!
飯も、沙奈の飯が一番上手い!
んで、どうしようもなく沙奈の事心配になる!!」
これでもかって言うくらいの満面の笑みで言う裕大。
・・・何か、話がかみ合ってない気がすんだけど・・・
―こいつに聞いた俺が馬鹿だったか?
「だからさ、お前もそうなんじゃねぇ?」
「そうって・・・何がそうなんだよ?」
米粒1つも残すことなく大上げた裕大は
弁当箱を片づける。
「だぁかぁら!俺と同じで大切で、
大事な妹みたいに思ってんじゃねぇかってこと!」
妹・・・?
俺が、沙奈ちゃんを妹って思ってるのか?
確かに裕大と同じような事を思ったりしてっけど・・・
それは妹みたいに可愛がってたからって事か―?
けど、そうじゃないような・・・
なくないような・・・