初恋
***
買い物が終わって、
合宿所にある冷蔵庫に買ったものをしまう。
結構重かったな・・・
あ、冷たいお茶作るために煮出ししとかないと・・・
薬缶を出して薬缶いっぱいに水を入れる。
「沙奈ちゃん、沸かしてる間にお昼ご飯食べとこ!」
「はい!」
そういえばあたし、悼矢さんの帽子被ったままだ・・・
あたしは帽子をとる。
後で返しに行かないと・・・
「・・・いいなぁ、沙奈ちゃんは」
「え??」
「悼矢に帽子貸してもらってさぁ。
あたしなんてあんな近くにいるのに心配もしてくれないよ・・・
悼矢の薄情者め~~」
「そ、そんな事はないと思います、けど・・・」
何だろ、この感じ。凄く、嫌―・・・
「最近、沙奈ちゃんが入ってきて、
あんまり構ってくれなくなったしぃ・・・」
頬を膨らませながらグチグチと言っている渡邊先輩。
それ、あたしがいる前で言わないでほしいな・・・
でも・・・
こうやって焼きもちやいてるってことは
やっぱり彼女、なのかな・・・?
そりゃ、こんなに可愛い人が近くにいたら
普通、放って置かないよね・・・