初恋
裕大の言葉には、
何故か元気が出るような、
勇気づけられるようなものがある。
相談をすれば真剣に答えてくれるし、
一緒に悩んでくれる。
俺が初めて裕大と会った時の印象は、
五月蝿い奴とか馬鹿っぽい奴とか、
あんまりいい印象は持っていなかった。
でも、話せば話すほど、印象とは違う奴だった。
男女仲よく付き合うし、
自分の意見ははっきり言うし、
しかも馬鹿じゃなかった。
まぁ、沙奈ちゃんの話をするときの裕大は
今でも五月蝿いし、若干変とは思うけど。
そんな裕大だから、皆に好かれてキャプテンに選ばれたんだ。
周りのムードも変えられる。
「悼矢ー!?お前歩くの遅いってー!!」
「悪ぃ悪ぃ」
「早く風呂入ろうぜ!めっちゃ腹減ってんの!!」
「わぁたって」
「なぁなぁ、お代わりいいんかな!?」
「俺に聞くなよ・・・」
夕飯をかなり楽しみにしてるのは分かるけど。
裕大は今にもスキップしそうな勢いで
合宿所に入って行った。
そんな裕大を見ながら俺は不覚にも笑ってしまった。