初恋
「ん、渡邊。もう説明し終わったん?」
「まぁね。これからテーピングのやり方教えるの。悼矢はこんな所で暇してていーの?」
「俺は裕大待ってんの。パス練しよーとしたら便所とか言い出すし」
「相変わらずだねー、裕大も」
渡邊先輩と悼矢さんって仲いいんだ・・・
「悪ぃ悪ぃ!!」
「便所は部活始まる前に行けって俺何回言ったっけ?」
「いやぁさ、部活始まる前は平気なんだけどなー!って、沙奈ここで何してん!?」
「え、テーピング教えてもらうんだよ」
へーへー、と目を輝かせながら言うお兄ちゃん。
前からこんな性格だけど、
これから部活もこうだとちょっと疲れる・・・
「はいはい、早くパス練する!」
渡邊先輩はお兄ちゃんの背中を押して練習に戻す。
「じゃ、沙奈ちゃん頑張ってね」
手を振りながらあたしに言ってくれる悼矢さん。
あたしはトクンっと心が高鳴った。
さっきと同じ症状・・・
あたし今日なんか変だ―・・・