初恋
***
「あ!沙奈ちゃん!!何処行ってたのー!?」
「すいません!ちょっと散歩をしに・・・」
悼矢さんと合宿所の玄関で別れて、
そのままキッチンに向かうと、
渡邊先輩がすでに朝の支度をし始めていた。
「そうだったの・・・
あたしが起きた時に、沙奈ちゃん居なかったから吃驚したよー」
「申し訳ないです・・・」
そう言いながらあたしも、朝食の準備を始めた時に
ドタバタと誰かが廊下を走る音が聞こえた。
何・・・?
渡邊先輩とキッチンの入口から廊下を覗いてみると、
准くんと悼矢さんがこっちに向かって走ってきた。
「悼矢―!どうしたのー!?」
渡邊先輩が悼矢さんに話しかける。
「助けてくれ!裕大が怖ぇぇ!!」
「あいつの低血圧は去年と全く変わらねぇ!!」
「嘘ぉ―!?」
准君と悼矢さんはゼーゼー息を切らしながら汗を拭う。
朝からこんなに汗かくなんて・・・