初恋



「と、とにかくあたしも行くよ・・・!


ほら、沙奈ちゃんも・・・!!」




ビクビクしながら渡邊先輩はあたしの手を引く。








え、え~~??








2階に上がって皆が寝ている部屋を見てみると、


布団に潜ってお兄ちゃんを見ないようにしている人が沢山いた。








「あの・・・これは一体・・・」


「去年から悩まされてる事なんだけど・・・


裕大は朝かなり弱いんだ・・・」




「それは、知ってますけど・・・






そんなに怖がる事ですか?」






サッカー部の皆があたしを見て驚いている。













な、何でそんなに驚くのかな・・・?











「裕大、朝なんだから起きなきゃ駄目なんだってば~!


朝練あるでしょ!」

「渡邊、やめろ!食われるぞ!」




「食われる!?えっと・・・


准くん、何で皆普通に起こさないの?」


「普通に!?普通に起きたらこんな悩まされないって!」


准くんの話によると、お兄ちゃんは誰が起こしても起きず、

起こすと言葉では表す事の出来ない表情で何かブツブツ言うらしい。





去年はサッカー部全員で何とか起こしていたらしい。
(枕投げたりとか・・・)




朝食を作っていたマネージャーさん達も参戦してたという。






「な、怖いだろ!?」




「怖いって・・・家ではこんな事ないのにな・・・」








あたしが起こしに行っても普通に起きてくれるのに・・・








寝不足とか・・・?























「駄目、全然起きない・・・」


渡邊先輩は深くため息をついて、戻ってきた。
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