初恋
「沙奈ちゃんバトンタッチ~・・・」
「あたしですか!?」
「沙奈ちゃんでも危ないって!!」
周りにいた先輩達があたしを引き返そうとして引っ張ってくる。
ちょ・・・痛い・・・
「そんな引っ張ったら沙奈ちゃんの関節抜けんだろ!」
悼矢さんがそう言った瞬間一斉に引っ張るのをやめる。
い、いきなり離されたら・・・!!
あたしはバランスを崩して、
お兄ちゃんの上に覆いかぶさるようになる。
「ひぃぃぃ!!沙奈ちゃーん!!」
「いたたた・・・」
腰を擦りながら起き上って下を向くと、
お兄ちゃんがいた。
「お、お兄ちゃん!?ご、ごめんね!?」
「う・・・」
「あ!というか起こさないと!起きて!!」
「「(沙奈ちゃん・・・怖くないんか・・・?)」」
お兄ちゃんの体を大きく揺さぶって起こす。
部屋の空気は重い空気へと変わっていく。
お兄ちゃんはゆっくりあたしの方を向く。
「沙・・・奈・・・?」