初恋
***
「悼矢ー!!!」
午前の部活の長い休憩の時、
俺にタオルとドリンクを真っ先に俺に持ってくる渡邊。
夏合宿が始まってから、
渡邊が俺に話しかけてくる事が増えて来た。
「ん、サンキュー」
「今日も暑いね!沢山水分取ってね!」
「おー」
木陰に腰を下ろして居た俺の隣に座る渡邊。
水道場の方に顔を向けると
沙奈ちゃんが他の奴らにタオルとかを渡している。
ホント、働きもんだよなぁ・・・
最近の俺は何かおかしい。
1人で居る時、
何かしら頭に浮かんでくるのは沙奈ちゃんで。
渡邊の話が全く入ってこない。
ん~・・・
「先輩!」
「あ、沙奈ちゃん」
沙奈ちゃんの声が聞こえて、
俺は思わず飲んでいたスポーツドリンクを吐きそうになる。
こう、考えてる時に来られると・・・!
「どうしたの?」
「お昼の事なんですけど・・・
お蕎麦を作ろうかと思いましてですね・・・
大きいお鍋を・・・」
汗を拭いながら話している時に、
沙奈ちゃんの後ろに裕大と准がいた。
ニヤニヤしながらホースを持っている。
「ちょ、裕大・・・」
「へ・・・?」
俺の言葉に、
沙奈ちゃんが後ろを振り返ると思いっきり水を被った。
その行動に俺は唖然としてしまう。
裕大と准はケラケラと笑っている。