初恋
「わ、悪ぃ・・・
お前も濡れちまったんだよな・・・」
「そーだよ!タオル貸してもらおうとしたのに」
「う、あ!すいません!先輩使ってください」
沙奈ちゃんは俺が貸したタオルを渡邊に渡した。
俺は渡邊に渡して欲しくなかった。
「お前、渡邊に渡したら自分ないじゃんかよ」
「あ。」
「・・・たくよ、ドジ、マヌケ、タコ」
「ちょ・・・タコは余計だよ!」
呆れた顔をしながら、准は沙奈ちゃんにタオルを渡す。
それが当たり前なのに、ムカついた。
笑ってありがとうと准に言っている沙奈ちゃん。
その時、俺の心は何故か酷く苦しくなった。
俺・・・何を考えてるんだ・・・?
准は中学の時から沙奈ちゃんの事を知ってて、
沙奈ちゃんは中学の時から准の事を知ってて・・・
2人が仲良くておかしくない筈なのに、
俺は何がそんなに気に食わないんだ?
喋ってるから・・・?
仲よくて羨ましいのか・・・?
いや、違う・・・