初恋
side悼矢
「は!?マネージャーを辞める!?」
「う、うん・・・じゃ、そーゆー事だから!!!」
「ちょ・・・マジ、待って!!」
俺が学校に来た時にはすでに裕大は崖から転げ落ちた顔をして教室にいた。
・・・何やったんだか・・・
高1から裕大とはクラスと部活とで一緒にいた。
こいつはサッカー一筋って奴で、顔も悪くないし人気だ。
「裕大、お前朝から何て顔してんだよ?」
「・・・悼矢・・・」
「あ?」
「緊急事態だ!!これはマジヤバイ!助けて!もう俺駄目だ!!」
俺の肩を揺さぶってくる裕大。
たまに暑苦しいと思うのは俺だけか・・・??
裕大から事情を聴くと、マネジが1人辞めてしまったって事だった。
「どーしよう・・・どーする!?」
「どうするも何も、新しいマネジ探さなきゃだな」
かなり深刻そうに言う裕大を、
ちょっと面白いと思ってしまう俺。
そんなに悩まなくたってお前が頼めば誰でもやってくれるだろ・・・
「悼矢、誰かいい奴いない!?夏合宿の時上手い飯作ってくれる奴!」
「そっちかよ!?」
「だってよ!?去年の夏を思い出してみろ!
スネ毛みたいねキャベツの千切りに、ウィンナー2、3本!
あさりの味噌汁はジャリジャリしてて・・・
あの最悪な飯をまた食べるだなんて!!
だったら俺は合宿何てやらない!」
去年の事を思い出した裕大はおかしくなる。
顔を真っ青にして今にも倒れそうなくらいに。
「裕大、落ち着け!だったら上手い飯を作ってくれるマネジを探そう!」
「上手い飯を作ってくれる女何て・・・・」
―ハッ!!―
裕大は何か閃いたのか元気を取り戻していく。
「いるよ・・・いる!!上手い飯を作ってくれる妹が・・・!!」
「おー、それは良かった。これで上手い飯を作ってくれるいもう・・・は?」