初恋
***
気づけばもう11時を回ろうとしていた。
「もうそろそろ消灯時間だな・・・」
「そうですね・・・
悼矢さん、教えてくれてありがとうございました。」
「ん、別に平気だって。
沙奈ちゃん覚えの早いし・・・
楽しかったよ」
悼矢さん・・・
「帰るか。」
「・・・はい」
「あれ、悼矢と沙奈ちゃんこんな所に居たの!?」
合宿所に戻ろうとした時、
あたし達を探していたのか、渡邊先輩が来た。
「渡邊・・・」
「もうそろそろ寝る時間だよ?早く帰る、帰る!」
渡邊先輩は悼矢さんの腕を引っ張る。
あたしはそれを見て、
2人の所には入って行けなかった
何か、嫌だ・・・
あたしは胸を強く抑える。
2人の姿を見てしまうと
いつもこう胸が苦しくなるのは何で・・・?
―見て、られない・・・
あたしは1人走って合宿所に帰る。
「ちょ、沙奈ちゃん!?」
後ろから、悼矢さんの声が聞こえる。
あたしは聞こえないふりをしてしまった。