初恋
合宿所の中に入ると
准くんが居て、目があった。
「沙奈ちゃん、外に居たのかよ?」
「う、うん・・・夜風を当たりに・・・」
准くんをちゃんと見る事が出来ず
顔を伏せてしまう。
「あ、あたし・・・眠いから・・・」
悼矢さん達が帰ってくる前に、部屋に入りたい。
あたしは准くんを見ないように
下を向きながら小走りで部屋に向かう。
「おい、待てって」
准くんはあたしの腕をとって引き止めてくる。
「沙奈ちゃん・・・?」
「・・・・離し、て・・・?」
あたしの精いっぱいの言葉だった。
准くんには本当に悪い事をしていると分かってるけど・・・
今は話したくなかった。
こんな自分が情けなくてしょうがない。
「・・・そんな事言われても、離す気ない」
准くんはそう言ってあたしを抱きしめる。
え―・・・?