初恋
side悼矢
合宿所に戻った俺たちはお互いの部屋に足を向けていた。
「じゃ、お休み!悼矢。」
「あぁ・・・」
素っ気ない言葉を渡邊に言って
俺はさっさと部屋に戻る。
俺の頭の中は沙奈ちゃんの事でいっぱいだった。
あの時・・・何で先に帰ったんだ・・・?
一瞬だけど、沙奈ちゃんが泣いているように見えた・・・
何で、あんな顔なんか・・・
「あ、悼矢今まで何処行ってたんだよ~!?」
部屋に入るなり裕大が俺に言う。
「ちょっと、な」
「はぁ?んだ、それ。」
布団の中でジタバタする裕大はただの子供にしか見えなかった。
准はそんな裕大をバシバシ叩いている。
「つーーーか!!この部屋、蚊ぁいねぇ!?」
今度は何をするかと思ったら、自分の手を叩き始める。