初恋
「悼矢、頼みに行くぞ!」
「お、おい!ちょ・・・」
俺は裕大に腕を掴まれてズルズルと連れてかれる。
で、着いた所が1年の階だった。
1人の女の子が出てきて・・・それが裕大の妹で。
裕大とは違って大人しそうな子だった。
最初は駄目だと思ったけど事情を話したら引き受けてくれた。
そして今に至る。
「あー・・・沙奈ー・・・」
裕大は裕大で沙奈ちゃんが近くにいると変なスイッチ入るし。
(まぁ、その事によって練習は2倍くらいこなすけど)
「家帰ったら沙奈にテーピングやらせてみよー!」
「はぁぁ?」
「だって見てみろよ!」
指の先の沙奈ちゃんを見てみると、
あんまり分かっていない感じだった。
てか、テーピングの練習してるだけなのに・・・
なんだ、あの百面相っぷりは・・・
―・・・ん・・・??
よく沙奈ちゃんの手を凝視してみると、
もうテーピングの仕方が分からなくなったのか、
リボン結びをしていた。
「・・・・ぷっ・・・」
いやいや・・・あっちは一生懸命やってんだ・・・
「悼矢、どーした?」
「い・・・や・・・っ・・・別っ、に・・・」
大人しそうに見えて、意外に面白い事すんのな―
それに気づいた俺は、
これからの部活が楽しくなってきてしまった。