初恋
そう思った時に、
下の階で寝ていた渡邊が怒りながらやってきた。
「五月蝿い!さっきから!!」
「だって蚊が・・・」
「蚊にくらい血上げたって死なないわよ!」
言うな、おい・・・
ギャーギャーと渡邊も騒いでしまい、
何が何だか分んなくなってきていた。
もう誰か止めてくれよ・・・
俺は、馬鹿らしくて止めるのを嫌になっていた。
「あの・・・」
次に部屋にやって来たのは沙奈ちゃんだった。
「沙奈ちゃん・・・」
「あ、沙奈!!救世主~~!!」
「え、え、え??」
裕大は沙奈ちゃんに思いっきり飛びつく。
そしてべそをかきながら、
沙奈ちゃんに騒いでいる事情を話している。
こんな兄を持ってしまった沙奈ちゃんが
何か可哀そうに見えて来た・・・汗
「・・・そんな事でいちいち暴れちゃ駄目でしょ?」
「蚊が五月蝿くて眠れねぇんだもん!
な、沙奈。俺、お前ん所の部屋で寝る!」
「え~~?」
「裕大、それはずるいだろ!?
1人だけ蚊の居ない、
そしてパラダイスの世界に行くなんてよ!!」
「そーだ!!俺たちだって我慢してんだから、お前も我慢しろ!!」
「うるさいやい!!」
今度は沙奈ちゃん達の部屋に行こうとする裕大を止めるべく騒ぎだす。
沙奈ちゃんはそんな中、考え事をしていた。