初恋
見てみると、足首は赤く腫れあがっていた。
こんなになるまで我慢して試合に出てたの・・・?
「いつから?」
「・・・12番と張り合ってる時に・・・
足掛けられて・・・」
「・・・何で言わなかったんだよ?」
「―・・・」
「ま、今に始まった事じゃねぇからな・・・
沙奈、テーピングしてやって」
「う、うん・・・」
あたしはお兄ちゃんにそう言われてテーピングを始める。
このまま分からないで試合やってたら
大変な事になってたかも・・・
「沙奈ちゃん」
「はい?」
「何で、俺が怪我してるって分かったんだ?
他の奴らは分からなかったのに・・・」
「それは・・・直感で・・・
弘樹先輩、周りの人とちょっと息の上がり方が違ったので・・・」
「―そっか」
テーピングをし終わった頃には丁度後半も始まる所だった。
弘樹先輩は軽く走ってみたり、
飛んでみたりしている。
この調子だと痛みもそんなに感じないみたい・・・
弘樹先輩のその姿を見て、あたしは一安心する。
「沙奈ちゃん、ありがとな!助かったよ!」
「いえ!後半も頑張ってください!」
「あぁ!」
笑顔でピッチの中に入っていく弘樹先輩。
あたしも頑張らなきゃ・・・!