初恋
side沙奈
「じゃ、今日はここまでにしとこうか」
「なんかすいません・・・なかなかテーピングのコツを掴めなくて・・・」
「いーって!あたしだって最初はそうだったんだからさ!」
やっぱり、いい人だ・・・!!!
練習をしていたお兄ちゃんたちも挨拶をして部室に向かっていた。
「皆お疲れー」
「おー、めっちゃ、くたくたぁ。渡邊、俺を癒して?笑」
部員の1人が渡邊先輩に言う。
男の人にも人気があるのか・・・
そりゃそうだよね、一緒にいるだけで癒されるし。
「ばぁか、早く着替えてきなよ」
「イケずー・・・あ、沙奈ちゃんもお疲れー」
「あ、お疲れ様です!」
あたしは少し勘違いをしていたのかもしれない。
元々男の子と話す事は苦手で、
チャラチャラした人なんて最悪だって思ってたけど、
こうやって少し話すと、あたしの考えていた人とは全然違った。
もっと皆さんと話せるように頑張らなくては・・・!!
「あ、沙奈ー!!一緒に帰ろー!!」
「う、うん」
大きい声であたしの呼ぶお兄ちゃん。
自分、恥ずかしくないのかな・・・・
あたしは部室の近くに置いてあった自分のバッグを渡邊先輩と取りに行く。
10分くらい待っていると先に出てきたのはお兄ちゃんだった。