君の為に出来る事


その台詞に、疲れた身体をソファーに掘り投げた俺は「ああ」とだけ頷き、彼女の顔もろくすっぽ見なかった。



いや、見られなかった。



いつもこうやって俺は彼女を放置している。



彼女だっていい加減、この生活にうんざりなんだろう。



『同棲』?



これはただの『同居』だ。



帰りの遅い俺は、いつだって彼女の寝顔しか見る事が出来ない。



それでも、同棲当初は彼女も頑張って今日みたいに起きて俺を待っている事もあったが、


そんなのが何回も続くとなんだか彼女に悪い気がして、『無理して起きてなくてもいいよ』なんて口にしていた。



同棲生活が始まって一年。



結局、すれ違い生活は解消されず、俺達の距離は広がるばかりた。


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