愛よりも深すぎて
人として
放課後になった。

木崎が職員室の俺の机にやって来た。
とはいえ来るまでに他の先生にいじられながら笑いながらやってきた。

俺と目が合うと
『先生』
と少し深刻そうな目をして呼び掛けてきた。

『行くぞ。』
俺は体ひとつで会議室に向かう。
そのあとを木崎が付いてくる。

会議室を開け近くにあった椅子に座ると
木崎も少し離れたところに座った。

『どうした』
『あのね、先生…』

木崎の口から出てきたのはクラスの子に突然無視されたとのこと。
しかも首謀者は同じ部活で同じパートの石本だということ。
一度本人に直接聞いたが気のせいだと言われたとのこと。
が、無視されるのは辛く頑張って学校へ来ていたものの
体が悲鳴を上げ始め頭痛、吐き気、胃痛の症状で学校へ来れる状態ではないとのことだった。

岡村先生は石本に話を聞いているが
石本は木崎に嫌なことをされたというが
それがなにかは絶対に言わないらしい。

『はぁ…先生にいってもどうにもならないだろうけどさ…
辛くて…
学校へ行きたいと思っても朝になると具合悪くなって行けないんだよ。
ご飯も食べれなくてさ。
おかげでダイエット成功だよ。』
と少し笑った。

苦しくてどうにもならない。
生きていればそういう思いはしていくことは多々ある。

俺にもそういう経験はある…

俺の過去の経験で今の木崎と重なる経験はしてきた…

そう。
10年前に…
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