愛よりも深すぎて
木崎が張りつめた表情で虚空を見つめていた。

『木崎?』
声をかけるとゆっくり俺の方を向き
『先生…』
と呟いた。
俺の顔を見ると今まで張りつめた表情をしていたのに
顔をグシャグシャにして泣き出した。

俺は木崎の隣に行き頭を撫でた。
木崎は声を出さずにひたすら泣いていた。

『終わったのか…』
『…ん…
石ちゃんさ…丸山の事好きだったんだよ…
私も相談受けてて…
私…丸山と幼稚園から一緒でさ…
仲もよかったから…
丸山と石ちゃんが…話せるように…
色々してたんだけど…
石ちゃんが丸山に告白したときも…立ち合わされたんだけど…
丸山、石ちゃん振ったんだよ…』

そんなこともあったのか…

『その後は丸山と話すのも悪いと思って
私なりに気を使って丸山と話さないようにしてたんだけど…
男ってバカだね…
こっちの気遣いもお構いなしで…
私にちょっかい出してきててさ…
それがおもしろくなかったみたいで…』

女の嫉妬と言うやつか。
14歳にして恐ろしい。
いや14歳だからか?


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