愛よりも深すぎて
春休み中に担任についての話があった。

本音を言えば木崎の担任をしたかった。
俺はきっと木崎に重荷を背負わせた。
せめてもの償いに中学最後の1年、
木崎を守ってやりたいと思った。

が、俺は石本を担任することになった。

石本は典型的な一人っ子で
かなりのわがままな子だった。
といっても誰にでもわがまま、というわけではなく
自分のフィールドを作ってその中で好き放題やるタイプだった。
限られた人間と付き合う子だった。

それに引き換え木崎は誰とでも話す子だった。
男だろうが女だろうが先輩だろうが後輩だろうが話す子で
担任されていない教師とも話ができる子だった。

そう考えると
丸山の事だけでなく
石本は木崎が羨ましかったんだろう。


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