愛よりも深すぎて
『ほら、去年木崎さん学校これなくなったことがあったし
不登校になった原因が原因ですから
男の子に対しての態度も気になるんですよね』

木崎は男の子とも平気で遊ぶ子だ。
変な意味でなく男の子とつるんでは遊んで
学校帰りも男の子と一緒に帰っている姿を見かけた。

といっても特定の男の子でなく、
遊んだ流れで帰っている様子だったし
前からそういう部分はある子だった。

『あぁ、木崎は男勝りですから。
あいつの中で男とか女とか関係なく付き合う子ですし
去年辛い思いをしてますからその辺は大丈夫じゃないですか?』
『クラスの男子に対してもそうですけど
荒木先生に対しても失礼なことが多い気がして…
担任として心配なんです』

失礼なのは俺の方だと思う。
まだ中学生の木崎にあんな秘密を話したのだから。

『あぁ、それなら大丈夫です。
木崎とは…』
秘密を共有させてしまった奴だから、という言葉を飲み込んだ。
『1年の時から色々相談のってたし
あいつも俺に対しては遠慮ないですから
回りから見るとどうなの?と思うかもしれませんけど
木崎が度を越したときは俺も諌めますから』

そう話すと俺は部活に向かった。

きっと加賀先生は俺に対しての木崎の態度が気に入らないのだろう。

部活に行くと相変わらずなぜか木崎のまわりに男の後輩がずらっと並んでいる。

男の子からしても女女してない木崎は話しやすいのだろう。

もてるのとはちょっと違うが(笑)
なにか説教していた。

『木崎、なに男子いじめてんだよ』
俺が声をかける。
『いじめてないって。こいつらに文句言えるの私くらいだし(笑)』

男子と話しづらい女子がいる中、
木崎はそれが平気なので一言もの申していたようだ。

『お前らふざけてないでちゃんと練習しろよ』
と木崎の一喝が入ると
『はーい』
と後輩たちは練習に戻った。

その姿を見ると
やはり男の子と話せない女の子からすると羨む存在なのかもしれない。
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