愛よりも深すぎて
木崎は特に問題なく学校生活を送っていた。

それより石本が気になった。
石本はクラスで孤立していた。

最初は部活の子達と一緒にいた。
石本と木崎は同じパートだったが
もう一人同じパートの篠崎が同じクラスで
その子と一緒にいた。
が、篠崎には元々仲がいい子が他にいて
その子と篠崎の間に石本が入っていたように見えた。

そのうち一人でいる様子が目立つようになった。
多分二人の間に入れなかったのだろう。
移動教室も一人で動いている。

そう思っていると
ある日木崎が俺のところに来た。

『先生、石本さんのことでちょっと…

『なんかされたか??』
ついいってしまった。
『いや、私は無事だが。
さっき沢井さんが私と篠ちゃんのとこにきてさ。』
沢井とは俺の部活の子だが去年木崎と同じクラスで
石本と一緒に木崎を無視していた。

『石本さんパート練習のときこないんだよ。ちゃんと場所も伝えてあるのに。
で、どうやら沢井さんとこ行ってるらしくてさ。
練習にならないからどうにかしろって。
どこでやってるか伝えてて来ないんじゃどうしようもないでしょ?とはいっといたんだけど。
だったら本人に練習に戻るよういってくれ、とはいっといた。』
『うーん…』
『沢井さんも私にいってくるってのはよっぽどだったと思うんだよね。
あのときあれだけ大啖呵切ったんだから。』

木崎は石本に言われた後、
沢井にも石本にしたことを責められ、
絶交宣言されたことがあった。
木崎も落ち込んではいたがそのあとは吹っ切ったらしく
木崎は沢井に対して関係をシャットアウトしていた。

『私はさ、最低限のことしかいえなかったんだけどさ。
篠ちゃんがね、私とのこと知ってたし
篠ちゃん自身もクラス同じになって色々あったみたいでさ。
別にパート練習に来るなといってないし
勝手に来づらくなってるんでしょ、と。
あれだけのことをキザさんにしたのは石本だし
石本がキザさんにしたことは大間違いだよ、と言い切ってくれて。
そしたらさすがに沢井さんも黙ってたわ。
ありがたかったな。』

木崎のことを理解してくれる子がいたんだな。
よかったな、木崎。

『先生、私らは石本さんを仲間はずれにしようとかいう気はさらさらないんだけどさ。
もしあっちからそんなこといってきたら違うから。
篠ちゃんだってクラスで仲いい子との間に石本さんが勝手に入ってきて
勝手にいづらくなったみたいで一人でいるようだといってたわ。
先生担任だし一応耳入れとく。』
『…あぁ。ありがと』

因果応報というか。
散々木崎を孤立させ追い詰めた石本が
今度はクラスで孤立してきた。
部活でも孤立しそうだな。
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