愛よりも深すぎて
『…なにやってんだよ』

手紙を読みながら呟いた。

俺の罪を知ってるだろう。
俺が苦しんでいたのを知っていただろう。

そのお前がなぜそんな目に合わなきゃならない?

『こんなこと誰にも話せない。
先生にしか。』
そんな一文があった。

木崎、お前はこれからどうするんだ?

俺と同じ思いをするのか?

お前は俺の知らない誰かに抱かれたのか?

それをなぜ俺に話す?

いつか木崎にも彼氏の一人や二人出来ると思っていた。
それを実際目の前に突きつけられると
嫉妬とも怒りとも取れる不思議な感情が沸き上がる。

これでなんでもない普通の男だったら
違ったのかもしれない。

木崎が不倫なんて…

確かに木崎は男からすると側においておきたい女だ。
少なくとも俺には特別な女だ。

男の気持ちもわからんでもない。

でも…
木崎をそんなポジションにおいてほしくなかったと
相手の男に怒りが湧いた。

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