愛よりも深すぎて
参列者見送りの時も木崎は凛とした表情で涙も流さずにいた。

俺が木崎の前に行きそっと肩に手をやると
木崎は俺の胸に頭をつけ小さな声で
『ありがとうございました』
といった。
きっと泣きたかったのだろう。

きゅっと唇を真一文字に結び睨むように俺を見た。

『落ち着いたらな。』
というと小さくうなずいた。

泣きたいときは泣けばいいのに。
そんな木崎を放っておけない。
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