愛よりも深すぎて
みんなで集まる日。
木崎と俺は1時間前に2人で会った。

木崎と近況報告をしていると、突然

『先生。深刻な話していい?』
と言い出した。

『あのね。うちのお袋ね。』
そこまでいうと少し声のトーンが下がった。

『自殺だったの。』
『え?』

そういうと少し笑うような泣くような顔をした。

『先生、うちのお袋が精神病んでたのは知ってるでしょ?
だいぶ落ち着いてたんだけどね…』

俺も言葉がでない。

木崎のお母さんの実母(木崎のおばあさん)と木崎のお母さんの関係はいいものではなかったらしく
それが原因で精神を病んだという。

木崎のおばあさんとお母さん二人のときだった。
多分喧嘩でもしたのだろうとのことだったが
家で首をつって命を絶った。

おばあさんは死人に口なしとばかりに
真実を語らない。

でも状況的に考えてきっとそうだろうと。

それを俺に語る木崎の顔は
覚悟を決めた顔、というか
無表情というのとは違うが
悲しみもなく
言い方は悪いが仏像のような表情だった。

『まわりにはね、膝怪我してたからそのせいで階段から落ちて打ち所悪くて、ってことにしてる。
お袋守るため、とはいえさ。
私、一生嘘ついて生きなきゃなんないんだよね』

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