愛よりも深すぎて
俺の不安を察したのか木崎は俺の隣に座った。

乾杯をすると
『さて、先生。
誰だか当ててみようか』
とどS全開の顔で俺を見る。

こーのーヤーロー!!
『ええと…』
『ほら、解るとこから当てていきな!』
木崎はニヤニヤと俺を見る。
『ほら、私の一個上だよ』
『私の一個下でチューバ吹いてた…』
等々小さな声でヒント出してくれていた。
話していくと思い出したが…最初はキツかった。
酒も入ってくると俺も
『いや、俺正直わかんなかった』
と自白(笑)
『ジジイ、脳トレできてよかったね』
木崎がにやっと笑う。
『先生、誰だかわかりますぅ?』
と木崎は自分を指差してニタニタしていた。
俺もニヤニヤしながらわざと首をかしげる。
すると木崎の一個下の男の子が
『木崎先輩覚えてなかったら先生ほんとにヤバイっすよね』
と言い出した。

あぁ。
俺が木崎を忘れる時はないだろうから。
その通りだよ。

と心のなかで呟いた。
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