愛よりも深すぎて
木崎と同じ電車に乗る。

終電なので人もまばらだ。

思わず木崎の手を握る。
木崎は弱く握り返してくる。

木崎が俺を見上げる。
その時二人で言葉なく会話をした。

『キスしてもいいか?』
俺は目でいった。

木崎は一瞬笑うような顔をしたが
首を横に振る。

俺も黙ってうなずく。

そうだよな。
彼氏もいるし
俺には嫁がいる。

わかってるよ。でもな、木崎。
俺はお前が大事だ。

木崎は黙ってうなずく。

二人にしかわからない会話だった。

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