とっておきの恋
カオリンは何も答えなかった。

いつもみたいに、大人っぽい笑みを浮かべるだけだった。

なんかミステリアスな雰囲気があって、同性のあたしですらどきっとさせられる。



いいな、カオリン。

美人だものね。




もしかしたら、安部くんてカオリンに気があるのかもしれない…。




突然安部くんの半裸身の石像が頭に浮かんだ。

安部くんとカオリンなら美男美女、お似合いのカップルだよ。





「…リ?」


――。


「…エリ?」

カオリンの声。

「ちょっとエリったら、真っ赤な顔して。熱でもあるの?」


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