とっておきの恋
「俺もさ、あんまり細かいことは言いたくないんだ」

長田が軽く目をそらす。

「勉強だけやる青春てのもどうかと思うし」

「せ、青春?」

さすが長田だ。

そんなセリフがさらっと出て来るなんて、熱い奴!!

「恋もしたいしな…」

うぐっ。

長田にも知られてたか…。

「免疫がなければないほどはまっちゃうもんだし。そういう意味で持田、おまえを呼び出したんだ」

「先生…」

「他のやつらならうまくやるだろうから心配ないんだが。でもおまえはとことん不器用そうだもんな」

長田、いいひとじゃん。

ただ熱いだけじゃなくてちゃんと見てるんだ。

ちょっと見直したよ。

「おまえが文系にしぼってるんなら私立文系って手もあるけどな。でもま、あれだ。将来何になりたいかをまず決めとけ」
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