とっておきの恋
重い…。

足が重いよ。


生徒指導室を出て、まっすぐ昇降口へ向かう。


もうみんな帰っちゃったよ。

放課後だもんね。



階段を下りて、廊下を右へ折れると、「エリちゃん」って呼ばれた。

ジャージ姿の安部くんが立ってた。

「部活、抜けてきたの?」

「うん。心配だったから」

うっ。

やさしいよ、安部くん。

胸がきゅんときた。

「長田に言われちゃった。将来のことちゃんと考えろって」

いつになくまじめな顔で安部くんがつぶやく。

「将来か…」

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