とっておきの恋
「持田さん、ちょっと持田さん!!」

へ?

「あ、安部くん…?」

と思って、眼を開けたら違った。

「何、寝てるんですか」

そこにいるのは遠藤くん。

「え、遠藤くんこそどうしたの?」

「僕は、今鉄道研究会の会合が終わって、忘れ物とりに教室に戻ってきたんです」

鉄道研究会。

そんなのあったんだ。

「そしたら、よだれたらして持田さん寝てるじゃないですか」

しまった。

あたしはセーラー服の袖で、口元を拭う。

うげっ!

まじでよだれたれてるよ。

「しかも教科書の上で」

でもよかった。

見られたのが遠藤くんで。

遠藤くんは問題をさらっとみると、あたしのノートを取り上げた。

そしてさらさらと書き始める。

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