とっておきの恋
カオリンの女性らしい細い手があたしの額に添えられる。

「ん…熱はないようね」

「カオリン…」

「風邪のひきはじめかもよ、気をつけて」




カオリン…やさしいよ。

これじゃカオリンに嫉妬なんかできない。

あたしはあたしの中の黒い気持ちにいったんふたをした。




窓の外に目をやると、校庭で男の子たちがサッカーをしている。


「あれ、うちのクラスの男子じゃない?」


間違いない。

だって、安部くんの姿が見えるもの。


「へえ、安部っちってサッカー得意なんだ。意外~!」

「意外なの?」

「うん。だってあいつバドミントン部だからね。ラケット系のスポーツの人ってサッカーとか苦手なのかと思ってたからさ」



そっか、安部くんてバドミントン部なんだ。
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