とっておきの恋
「遠藤! 余計なこと言うな!!」

いつの間にか安部くんが立っていた。

ものすごい怖い顔して遠藤くんを睨みつける。

その剣幕に押されて、遠藤くんはこそっと逃げた。

「ごめん」と小さく一言だけ残して。



あたしは待ってた。

安部くんが否定してくれるのを。

だから、何も言わずに安部くんの目を見つめた。



でも、安部くんはとってつけたような笑顔を浮かべ「ちゃんと勉強してた?」って話題を摩り替える。

「安部くん!」

あたしはとにかく本当のことが知りたかった。

二人が付き合ってたことが事実なら事実でいい。

ただそれをどうして隠していたのか、それを教えてほしかった。
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