とっておきの恋
「あれ、持田さん」

階段で下から声をかけられた。

「河辺くん…」

河辺くん、なんかいつもと雰囲気が違う。

あ、そうだ。

メガネしてない。

メガネのない河辺くんは、思ってたよりハンサムだった。

ちょっとミスチルの桜井さんに似ている。

「どうしたの。まだ帰らないの?」

とっくに放課後になっていた。

安部くんもカオリンも部活に行ってしまい、あたしは一人。

「ちょっと用事があって…」

用事って、遠藤くんから情報を聞き出すことだけど、それもだめだったし。

「ふーん。じゃあ安部っちが部活終わるの待ってるとか?」

「あ…。ううん、今日は帰る」

別に安部くんと約束してないし…ね。

それに今日はそんな気分じゃない。

「本当? じゃあ俺も一緒に帰っていいかな?」

「だって部活…」

「いいの、今日メガネ壊れちゃったから」
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