とっておきの恋
どうしよう。

でも、河辺くん目が悪いんだし…。

「いいよ」

そう言うと、河辺くんの顔がぱっと明るくなった。

「ありがとう。本当に助かるよ」

河辺くんはあたしの肩に右手を置く。

ううん、違う。

河辺くんの右手があたしの肩を抱いている。



これっていいのかな…。

でも、河辺くんに頼まれたんだし。

深く考えず、河辺くんの歩きやすいようにすればいいや。



陽が落ちていた。

あたりはすっかり暗くなり、気持ちだけの街灯が辺りを照らす。

あたしたちの影ばかりがむやみに長く、アスファルトを染めていた。



「ねえ、持田さん。大丈夫?」

左上から河辺くんの声が降りてくる。

「何が?」

「怪しんでるんでしょ」
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