とっておきの恋
「やだ…やめ…て」

口をふさがれていて、息ができない。

苦しい…。

「あいつ邪魔なんだよ。目障りでしょうがない」

河辺くんは独り言のようにぶつぶつとつぶやきながら、力任せにあたしを支配しようとする。



すると、ピシッという音がし、それと同時に河辺くんの手がほどけた。


「早く、逃げて!」


「い…痛ぇっ…」


河辺くんはこめかみを押さえたまましゃがみこむ。



すると、誰かがあたしの手をとって走り出した。



誰?

あたしを助けてくれたの?



あたしたちはどのくらい走っただろう。

商店街の灯りが見えてきた。


< 121 / 203 >

この作品をシェア

pagetop