とっておきの恋
あの遠藤くんだった。

「どうして?」

遠藤くんはちょっと恥ずかしそうにうつむく。

「安部くんたちのこと教えなかったから、ちょっと気になっていて。そしたら昇降口から持田さんと河辺くんが出てきて…。河辺くん、視力0.1ないって言ってたけど、あれ嘘だよ」

「え、そうなの?」

「あのメガネはおしゃれ用で度が入っていないって前言ってたから…」

「だからずっとつけてきたの?」

「肩に手を乗せたところを見ちゃったから、どうしても気になってて…」

遠藤くんは、顔を赤くしていた。

「悪趣味だよね。こんなふうに人をつけて」

そっか。

それを恥じてるんだ、遠藤くん。

「そんなことない。遠藤くんはあたしの恩人だよ。本当にありがとう!」

あたしは心から感謝していた。

下手したらキスだけじゃすまなかったかもしれないもの。

ほんと、危ないところだったよ。
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