とっておきの恋
「でもどうしよう。河辺くん、けがしたかもしれない」

突然おろおろし始める遠藤くん。

「あれ、石? 石投げたの?」

「うん。だめだよね、石なんか投げたらさ。しかも顔に当たったと思うんだ。普段的当てしたって絶対に当たらないのに、なんでこういうときに限って、ピンポイントで当たっちゃうかなあ」

でも、当たらなかったら、きっと逃げられなかった。

「いいのよ、遠藤くん。勧善懲悪よ。わるいやつはやっつけなくちゃ!」

「悪いやつ?」

「そうよ、だってあたし嫌がってたでしょ。正義は勝つの!!!」

遠藤くんはなんだか嬉しそうだった。

「正義か…」

そう何度もつぶやいていた。
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