とっておきの恋
「ねえ、エリちゃん」

左後ろからあたしのセーラーの襟をつまむその手は…。

安部くんのもの。

「数学大丈夫? ちゃんと勉強した?」

ってまじめな顔。



ん、もう!

昨日、あたしがあんなたいへんな目にあったって言うのに、何も知らないでさあ。



で、さらにあたしの大嫌いな数学を思い出させるかねえ。

デリカシーなさすぎ!



あたしはくやしまぎれに

「安部くんなんてだいっ嫌い!!」

って、思いっきりあっかんべーをした。

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